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日々のメモ書き。

がん(癌、肉腫、悪性腫瘍)用語解説:聞いたことがある言葉についてもう一度確認してみよう。
悪性腫瘍(がん)とはいかりや長介の場合は原発不明悪性リンパ腫の類か。通常は原因となる病巣のある臓器があって、転移してリンパ節にガンが起こるので、「原発不明頸部リンパ節癌」という。gooやYahooで「頸部リンパ節癌」で検索するとここが上位にくるのはそういう珍しい症例だから、というわけだ。
がんの進行と症状:病期(ステージ)の話。癌になった病巣によって異なるが、通常は4段階の「ステージ」で表現されることが多い。これは胃癌の例。当然、肺癌と乳癌では異なる。
各種の癌について:臓器別の癌の詳細としてはこのページが最も分かり易い。
ガンについて:小説版「白い巨塔」が書かれたのは1964年前後。すなわち40年前で、そのころの発生率・死亡率のトップは胃癌であった。で、胃癌においてはその進行度によって「ボールマン型」という分類があり財前五郎は最後の「愚見」で自らの胃癌を周囲にふせられながらも「ボールマン4型に近い3型」と診断し、大河内教授による病理解剖でその正しさが証明される。当時は胃潰瘍でも手術による胃切除が普通行われ、財前自身にガンであることを隠すことも容易であったが、現在においては潰瘍では開腹手術はほとんど行われない。また、検査技術などの向上によって胃癌は早期発見が容易になり肺癌より死亡率の低い病気になっている。またCT等がある状況下で開腹してみるまで進行度の判断が不可能とするためには胃癌ではなく、肺癌からの胸膜播種に変更したのは妥当な改変であったと思う。また、小説版では財前先生が問われたミスとは佐々木氏の噴門癌が「早期ガン」か「進行ガン」かの判断ミスによって、肺転移を看過し、術後の治療方針を誤ったことにあった。
肝性脳症:小説版「白い巨塔」を非常に忠実に再現する、という意味に置いては田宮版TVドラマも唐沢版TVドラマも同等であった。いまわの際に財前が発した言葉の数々は当然、財前の心中が漏れ出たものであったが、これは死に際しての罪の意識表明という演出も兼ねているわけだが、意識障害によるもの、という意味ではけして過剰な演出ではない。ただ、症状が田宮版と唐沢版では決定的に違っているため、ここはかなり唐沢版のスタッフは工夫をしたと思われる。田宮版では胃癌は肝臓へ転移を起こしており、肝機能不全によって死に至るわけで、肝性昏睡に陥ってからの最後の錯乱で説明がついた。しかし、唐沢版は肝臓への転移も有り得ただろうが、基本的には肺機能不全による死が妥当である。そのために右手の痺れ=脳転移の兆候をみせてそれをCTで発見するということにして最後の錯乱は脳腫瘍による意識障害ということにしたと思われる。また人工呼吸器の挿管を提案したとき、東教授が口にしたのは血中酸素飽和度と血中二酸化炭素分圧だけであってその数値的には重度呼吸不全手前のものであり、挿管判断のタイミングとしては妥当であったように素人からみても思える。挿管の絶対条件は呼吸数と血液のpH値によるので挿管の判断が必要な状態=自発呼吸不能=最後の会話不能、というわけではない。宇宙を舞台にしたドラマなどにおいては真実よりも感覚的に正しい表現を優先したりするため科学考証がないがしろにされがちだが(例:「アルマゲドン」)「白い巨塔」における医学的考証をした場合、演出上の歪曲は極めて少なかったと思う。